「設備保全の仕事がきついというのは本当?」「設備保全の仕事に興味はあるけど、自分に向いているのか知りたい」と思っている人もいるのではないでしょうか。
設備保全の仕事はきついと言われることがありますが、本当にきついのでしょうか。たしかに設備保全は工場やプラントなどで機械や設備を安定稼働させる重要な役割を担いますし、突発的な対応を行わなくてはならないこともあり、きついと感じる人がいるのかもしれません。
この記事では、設備保全の仕事が本当にきついのか、きついと言われる理由や実際の労働環境、向いている人の特徴、きついと感じた時に取るべき行動について詳しく解説します。
目次
設備保全の仕事とは
設備保全の仕事とは、工場やプラントなどで使われる機械や設備を正常に稼働させるために、点検や修理、メンテナンスを行う仕事です。設備が故障すると生産ラインが止まり、企業に大きな損失を与えてしまう可能性があるため、設備保全は生産を安定させるために欠かせない存在といえます。
主な業務内容は、故障を未然に防ぐための定期点検や部品交換を行う予防保全、トラブル発生時に修理を行う事後保全、そして再発防止や効率化を図る改善保全です。これらを通じて設備の寿命を延ばし、生産性を高める役割を担います。
設備保全には電気や機械、制御などの専門知識に加え、トラブル時の冷静な判断力や、現場とのコミュニケーション力も求められます。技術力や責任感が試される仕事ですが、その分、現場を支えるやりがいの大きな職種です。
『設備保全とは?仕事内容や求められるスキルなどを解説します!』
設備保全がきついと言われる理由
では、設備保全の仕事はなぜきついと言われるのでしょうか。その理由を解説します。
業務量の増加
設備保全の仕事がきついと感じられる大きな理由のひとつは、業務量が増加しているためです。
近年、製造現場では高経年化した設備が増えており、定期点検や部品交換、改修対応などの作業量が増えています。さらに、省エネ化やIoT導入、カーボンニュートラルへの対応などの新たな取り組みが進む中で、保全担当者には従来の点検・修理業務に加え、新技術への対応やデータ管理などの業務も求められるようになっています。その結果、ひとりあたりの業務範囲が拡大し、日常的に多忙な状況が続いているのです。
実際、日本プラントメンテナンス協会の「2023年度メンテナンス実態調査報告書」によると、設備保全における業務の中で「高経年設備対応」が最も増加しており、全体的に保全業務量も上昇傾向にあることが報告されています。このように、設備の老朽化や新たな技術対応によって保全業務の負担が増したことで、きついと言われている可能性があります。
人手不足
人手不足も、設備保全の仕事がきついと言われるもうひとつの理由です。多くの製造業では保全部門の人材確保が難しくなっており、限られた人員で多くの業務をこなさなければならない状況が続いています。それによって、労働時間が長くなったり休暇が減少したりといったことが起こっているのです。
「中小製造業における設備保全・点検業務の人手不足とDX化」によると、中小製造業の約5割が「設備保全・点検部門で人手不足を感じている」と回答しています。さらに、「保全・点検部門の人材不足に関する意識調査」では、人材不足によって保全部門の人材不足が業務に与えている影響について、「時間外労働の増加や休暇取得の減少」が42.0%にのぼりました。
こうした状況が続くことで保全担当者の負担は増大し、結果として「設備保全はきつい」と感じる人が増えている可能性があります。
技術継承の不足
技術継承の不足も、設備保全の仕事がきついと感じられる要因です。設備保全は長年の経験から得られる知識やノウハウが重要な仕事であり、設備の異常を察知したり、トラブルの原因を迅速に突き止めたりするためには、ベテラン技術者が培ってきた経験に基づく判断力が欠かせません。
しかし、近年は人手不足や高齢化の影響でこうした熟練者の退職が進んでおり、若手社員に知識や技術を十分に継承できていない現状があるのです。実際に、「保全・点検部門の人材不足に関する意識調査」でも、人手不足の影響として「業務知識・ノウハウの技術継承が進まない」と回答した企業が多い結果となっています。
このように技術継承がうまく進まないことで、若手が十分なスキルを身につける前に現場対応を求められたり、トラブル対応に時間がかかったりといった事態が発生します。その結果、現場全体の負荷が高まり、設備保全の仕事がよりきついと感じる結果となっている可能性があります。
環境の変化
設備保全の仕事がきついと言われる理由のひとつに、製造業を取り巻く環境の変化があります。近年、製造業では市場構造や生産体制、さらには企業経営の方向性そのものが大きく変化しており、これらが保全業務にも直接的な影響を与えています。
「2023年度メンテナンス実態調査報告書」では、設備保全を取り巻く環境の変化として、「市場の変化」「中長期設備投資の最適化」「国内生産量変化」などが高く認識されています。
こうした環境の変化により、設備保全の現場ではこれまで以上に柔軟で効率的な対応が求められています。生産量や投資計画の変動に伴い計画的な保全が難しくなる一方で、老朽設備の延命やコスト削減の圧力も強まっています。その結果、限られた人員と時間の中で安定稼働を維持しなければならず、保全担当者の負担が増しているのです。
学習が必要
設備保全の仕事がきついと言われる理由としては、常に学習が求められる点も挙げられます。近年、製造現場ではIoTやAI、ロボティクスの導入が進むとともに、機械設備そのものも高性能化・複雑化しています。そのため、保全担当者は従来の機械構造や電気制御の知識だけでなく、センサー技術やデータ解析、ネットワークシステムなど幅広い分野への理解が必要となっています。
「設備管理の人材育成に関する実態調査」でも、「自社で不足している育成項目」として「技術の高度化に関する知識、素養」が最も不足しているという結果になりました。
現場では新技術の導入が進む一方で、教育や研修の体制が十分に整っていないため、担当者一人ひとりの自己学習への負担が増していることで、きついと感じる結果となっている可能性があるのです。
設備保全の環境は改善する可能性も
ここまで、設備保全の仕事がきついと言われる理由について説明してきましたが、近年ではその環境が徐々に改善されつつあります。企業によっては、保全業務の効率化や人材育成の強化など、働きやすい環境づくりに向けた取り組みが進んでいます。こうした施策が広がることで、今後は設備保全の労働環境が大きく変化していく可能性があります。
自動化・省力化
設備保全では自動化や省力化が進むことで設備保全の環境が改善する可能性があります。既存設備の更新やロボット・自動機の導入を進める企業が増えており、人手に依存していた点検・補修作業の一部を自動化することができます。これにより、担当者の作業負担を軽減しながら、保全業務の効率化と安全性の向上が可能になるのです。
「保全・点検部門の人材不足に関する意識調査」でも、人材不足への対応方法として「取り組んで効果があった」と回答された項目の中で最も多かったのは「既存設備の更新による省力・効率化」(14.0%)で、次いで「ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化」(12.5%)となりました。
このように、自動化や省力化の取り組みがさらに広がることで、設備保全の職場環境はより働きやすいものへと変化していくことが期待されます。
外部委託の活用
外部委託を活用することでも、設備保全の環境改善が期待できます。自社で全ての保全業務を担うのではなく専門業者に一部または全体を委託することで、負担の軽減や効率化を図る企業が増えています。
「保全・点検部門の人材不足に関する意識調査」では、人材不足への対応として「業務の外部委託(アウトソーシング)」を実施し「効果があった」と回答した企業が11.8%となりました。このように、外部委託の活用が進むことで、設備保全の現場では労働時間や環境の改善が期待できるでしょう。
設備保全の年収事情
設備保全の年収はどの程度なのでしょうか。年収が低いことで、きついと感じる結果になっていないでしょうか。ここでは設備保全の年収事情を解説します。
厚生労働省の職業情報提供サイトの、「産業用ロボットの保守・メンテナンス」「紡織設備管理・保全」「物流設備管理・保全」などを見ると、令和6年の平均年収は586.3万円となっています。国税庁によると日本の平均年収は460万円なので、設備保全の年収の水準は平均よりも大きいということがわかります。
年齢別の年収グラフを見ると、平均年収は50~54歳にもっとも高くなり717.55万円となることがわかります。そして、65~69歳でも412.21万円の平均年収となっています。設備保全は、長く安定した収入が得られる仕事といえるでしょう。
『工場の設備保全の年収は?年収を上げる方法、将来求められる能力も紹介します』
設備保全が向いている人とは
設備保全に向いている人とはどんな特徴がある人なのでしょうか。
機械やものづくりが好きな人
設備保全の仕事は、機械やものづくりが好きな人に向いています。設備保全では、工場や生産ラインにある機械の点検・修理・改善を行うため、日常的に多くの機械に触れながら仕事を進めることになります。機械の構造や仕組みを理解し問題を見つけて直すことが求められるため、「どう動いているのか」「なぜ壊れたのか」といったことに興味を持てる人ほど、仕事へのやりがいを感じやすいといえるでしょう。
また、設備保全の現場では単に機械を直すだけでなく、より効率的に稼働させるための改善提案を行うこともあります。たとえば、トラブルの原因を分析して再発防止策を考えたり、部品の交換時期を見極めて生産を止めずに対応したりと、ものづくり全体の品質や生産性を支える役割を担います。
そのため、機械の仕組みに興味がある、機械が好き、自分の手で生産ラインを支えたいといった気持ちを持つ人にとって、魅力的な仕事といえるでしょう。
地道な作業が得意な人
設備保全の仕事に向いている人の特徴のひとつは、地道な作業が得意な人です。
設備保全では、機械や装置の点検・清掃・記録など日々の地道な作業を正確に繰り返すことが求められます。小さな異常を見逃さず、コツコツと確認を積み重ねることが設備の安定稼働やトラブルの未然防止につながります。こうした作業を丁寧に続けられる人こそ、信頼される設備保全担当者として活躍できるでしょう。
設備保全の仕事に興味がある方は、自分がコツコツと作業を積み重ねることが得意かどうかを意識してみるとよいでしょう。
注意深い人
設備保全の仕事に向いている人の特徴には注意深い人も挙げられます。
設備保全では、機械や装置のわずかな異常や変化を見逃さない観察力が求められます。機械の故障やトラブルは突然起こるものではなく、小さな変化の積み重ねによって発生することが多いです。日々の点検で音や温度、振動、匂いなどの微妙な違いに気づける注意深さが、重大な故障を未然に防ぐ大きな要素となるのです。
このように、注意深く観察しわずかな変化にも気づける人は、設備の安全と安定稼働を支える重要な役割を果たすことができるでしょう。
データの分析が得意な人
設備保全の仕事に向いている人の特徴のひとつは、データの分析が得意な人です。
設備保全では、機械の稼働データや点検記録をもとに異常の兆候を見つけたり、故障の原因を分析したりする力が求められます。温度・振動・電流値などの数値を継続的に記録し、それらを比較・分析することで、設備の状態を正確に把握し、適切なメンテナンス時期を判断します。こうした分析力があることで、無駄な修理や突発的なトラブルを減らし、コスト削減や生産性向上にもつなげることができるはずです。
例えば、設備の振動データをグラフ化して傾向を分析することで、異常の前兆を早期に察知し、事前に部品交換を行うといった予防保全が可能になります。このような分析スキルを持ち、その結果から傾向を冷静に分析できる人は、設備保全の仕事に向いているといえるでしょう。
チームでの協力を大切にできる人
設備保全の仕事に向いている人の特徴のひとつは、チームでの協力を大切にできる人です。
設備保全の現場では、複数の技術者やオペレーター、製造部門の担当者など、さまざまな職種の人と連携しながら業務を進める必要があります。トラブルの原因究明や修理対応を行う際には、情報共有や意見交換を円滑に行うことが重要です。そのため、チームで協力し、周囲とコミュニケーションを取りながら仕事を進められる人が求められます。
また、設備保全では一人で完結する作業よりも、チーム全体で取り組むケースが多くあります。たとえば、設備の定期点検や突発的なトラブル対応では、作業分担や手順の確認を密に行うことで、安全かつ効率的に作業を進めることができます。だからこそ、チームワークを大切にし、周囲と連携して動ける人は設備保全の現場で特に活躍しやすいといえるでしょう。
新しい技術や設備に興味を持てる人
設備保全の仕事に向いている人の特徴として、新しい技術や設備に興味を持てる人も挙げられます。
近年、設備保全の分野ではIoTやAI、ビッグデータ分析などの技術が急速に導入されつつあります。センサーによる稼働データの取得や、AIを活用した故障予知・診断など、従来の「経験と勘」に頼る保全から「データに基づく予知保全」へと変化しているのです。
実際、「設備管理の人材育成に関する実態調査」の報告書でも、「技術の高度化に関する知識、素養」がもっとも求められていました。これからの設備保全担当者には、単なる修理技術だけでなく、データ分析やICTツールの活用など、新しい技術を積極的に学ぶ姿勢が欠かせないでしょう。
診断テストを利用するのもおすすめ
ここまで設備保全の適性を紹介してきましたが、自分ではわからないという人は、「設備保全自己診断テスト」を利用するのもおすすめです。
このテストでは、設備保全に関する知識や考え方、仕事への向き・不向きなどをチェックできる内容になっています。設問に答えていくことで、自分がどの程度設備保全に適性を持っているのか、どの分野を伸ばすべきかを客観的に把握できるでしょう。
もし設備保全がきついと感じたら
現在設備保全に就いているけれどもきついと感じている人や、設備保全に興味があるけれども就職した後にきついと感じたらどうしようと不安な人は、以下のような対策方法があることを理解しておきましょう。
別会社の設備保全や他の業種に転職する
設備保全の仕事がきついと感じる場合は、別会社の設備保全職や他業種への転職を検討するのもよいでしょう。
会社や業種によって、担当する設備の種類や業務範囲、勤務体制、残業時間などの労働環境は大きく異なります。そのため、同じ設備保全という職種でも、転職先によって負担の少ない働き方ができる可能性があります。
そして、転職をする場合には転職エージェントを利用するのがおすすめです。エージェントは、非公開求人や社内の雰囲気・職場環境など、一般には出回らない情報を多数保有しています。そのため、自分の希望に合った企業や職場を見つけやすく、転職後のミスマッチを防ぐことができます。
また、転職エージェントを活用した人は、利用しなかった人に比べて年収が高くなる傾向があるというデータもあるので、年収面でもメリットがあるでしょう。
社内で他の職種を目指す
設備保全がきついと感じた場合は、社内で他の職種を目指すのも有効な選択肢です。
同じ会社内であれば、これまでに培った設備や生産ラインの知識、人間関係、業務フローの理解をそのまま活かすことができます。新しい環境にイチから慣れる必要がないため、転職よりもリスクが少なく、スムーズにキャリアチェンジを実現しやすい点がメリットです。特に、生産技術や品質管理、製造などの職種は、設備保全で得た経験との親和性が高い傾向にあります。
一方で、部署異動が難しい企業もありますが、その場合は上司や人事に相談し自分の適性や希望を具体的に伝えることが重要です。
資格を取得する
設備保全の仕事がきついと感じたとしても、資格を取得することで現状を変えられる可能性があります。資格を取得することで専門性が高まり、より上位のポジションや管理職への昇進を目指せるようになります。それによって、きつい現状を変えられる可能性があるのです。
また、資格は転職市場でも大きな強みとなり、より待遇の良い企業や自分に合った職場を選びやすくなります。特に、電気工事士や機械保全技能士といった国家資格は、現場での実務スキルの証明として企業から高く評価されます。
設備保全の仕事がきついと感じたときこそ、資格を通じて専門性を高め、自分の市場価値を上げていくことが、現状を変えるための第一歩となるでしょう。
設備保全におすすめの資格は以下の記事で詳しく解説しています。
『設備保全におすすめの資格6選!資格取得のメリット、注意点も紹介します』
企業研究をしっかりと行う
設備保全の仕事がきついという状態にならないためにも、転職や職場選びの前には企業研究をしっかりと行うことが重要です。
設備保全の働きやすさは企業ごとに大きく異なり、同じ職種でも業務負荷や残業時間、教育制度には大きな差があります。そのため、事前に企業の保全体制や設備更新の頻度、改善文化が根付いているかなどを確認しておくことで、入社後のミスマッチを防ぐことができます。
また、実際の現場の雰囲気や働き方は求人情報だけでは判断できないため、口コミサイトや転職エージェントを活用することも有効です。特に「突発対応が多い」「古い設備を使い続けている」「保全が人手不足で属人化している」などの情報は表には出づらいため、外部の情報源を積極的に活用しましょう。
設備保全の就職・転職ならベスキャリ機電で
設備保全の仕事は、確かに業務量の増加や人手不足などから「きつい」と感じる場面があるかもしれません。しかしその一方で、生産現場を支える重要な役割を担い、技術力を活かして安定したキャリアを築ける魅力的な職種でもあります。
もし現在の職場で「きつい」「自分には合っていない」と感じている場合は、思い切って転職を検討するのもひとつの方法です。その際には、自分に合った企業を効率よく見つけるために、転職エージェントを活用するのがおすすめです。
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